アニメ『マッシュル-MASHLE-』を観て「仏法」だなぁって思ったワケ
もう12月ですね。寒い日はコタツに入ってアニメを観て、シュークリームでも食べながら、仏法の哲学を深めてみませんか?
今年一番、私が笑えたのは、ファンタジーギャグアニメ『マッシュル-MASHLE-』!
ギャグ要素が多めで、ストレスがぶっ飛ぶぐらい面白くて。その上、感動シーンも随所にあってライバルキャラも魅力的。何より、主人公であるマッシュ・バーンデッドの生き方が「仏法」だなぁって、私はたくさんジーンとする瞬間があったんです!
『マッシュル-MASHLE-』あらすじ
舞台は、魔法界。人々が当たり前のように魔法が使える社会。魔法が使えない少年マッシュ・バーンデッドは、家族と平和に暮らせる世界をつくるため、筋トレで鍛え上げた超人的な肉体を武器に、魔法界のトップ「神覚者(しんかくしゃ)」を目指します!
ここから、個人的に仏法だなぁと感じた瞬間を、作中のセリフとともに紹介します。
マッシュ・バーンデッドと報恩の心
「じいちゃんと平和に暮らす・・・・・・そんな当たり前のことも出来ない世の中ならブッ壊すしかないでしょ グーパンで」(アニメ第1話より)
魔法界では、魔法が使えない人間は殺されてしまいます。そのため、マッシュは人目につかない森の中で、養父(じいちゃん)に育てられていました。じいちゃんの言いつけは、勝手に外出しないこと、自衛のため筋トレを怠らないことでした。
ある日、マッシュの存在が魔法警察に見つかり命を狙われますが、マッシュは鍛え上げた筋力で、警官を返り討ちにします。マッシュの力を目の当たりにした警官は、マッシュに“ある取引”を持ちかけます。
その取引とは、彼とじいちゃんの存在を見逃す代わりに、魔法学校のトップ「神覚者」になり、それに付属する莫大な金品や権利を警官に譲渡せよというものでした。
取引に応じなければ、じいちゃんとマッシュは一生、追われる身になってしまいます。マッシュは「またじいちゃんと平和に暮らしたいし」と、神覚者を目指すことを決意します。(じいちゃん「ホントいい子なんだから」と号泣)
戦いの舞台である魔法学校に着き、雷鳴がとどろくなか、マッシュが自分を鼓舞するようにつぶやいたのが、冒頭のセリフです。
ここからマッシュの挑戦と成長の物語がスタートするのです。
マッシュが神覚者になろうと決めたのは、血のつながらない自分を守り、大切に育ててくれたじいちゃんを今度は自分が守る番であるとの報恩の思いから、だと私は思います。
「報恩」とは、“恩を知り、恩を返していくこと”。人間にとって大事な考え方であり、仏法においてとても大切な精神です。
日蓮大聖人は、
「仏法を学ぶ人は、必ず恩を知り、恩を返していくべきである」(新58・全192、趣意)
とつづられています。
マッシュはじいちゃんが自分のことを守り育ててくれたことへの感謝と、次は自分がじいちゃんを守っていくとの使命感を原動力に、強敵を次々と倒していきます。
マッシュ・バーンデッドと万人平等の精神
「君の目がどんなにこの世界で望まれてないものでも それが理由で周りからなんと言われようとも 僕の君に対する態度は変わらないよ。だって魔法の使えない僕が、じいちゃんにそうやって育ててもらったからね」(アニメ第9話より)
このセリフは、マッシュが魔法学校の上級生・アビス・レイザーにかけた言葉です。
魔法学校では、神覚者候補に選ばれるためにコインを獲得しなければなりません。アビスは、マッシュがコインをかけて対戦した相手の一人です。
アビスは、「イブルアイ」と呼ばれる、相手の魔法を一時的に使えなくする眼を持っています。“魔法が全て”の社会において、魔法の無効化は最強で、周囲や家族から忌み嫌われる能力です。幼い頃に彼の両親はこの眼が周囲に知られないようにするため、彼を牢屋に閉じ込め、殺そうとした過去もありました。
対戦の後、魔法での戦いに負けたことで自分の存在意義を見失いかけていたアビスに、マッシュが友達になろうと誘うと、彼は断ります。眼を理由に周囲から嫌われ続けてきた経験が、そうさせたのです。しかしマッシュはもう一度、アビスの眼がどれだけ社会的に忌避されていようとも、君はこの世界に必要な存在なんだと伝えるのです。そして「次は一緒にシュークリーム食べましょう」と(マッシュはシュークリームが大好物)。その後の戦いでは、マッシュが満身創痍のアビスを守り、アビスはついに心を開くことができました。もう、めっちゃ良いシーンでした。
仏教を説いた釈尊は、ある大王に対して“だれにとっても自分以上に愛しいものはない。自己を愛する者は他人を害してはならない”と教えています。
つまり、他の人も自身と同じように大切な存在であると知って、他の人を尊敬していく姿勢、万人を敬っていく生き方を教えています。
弱い立場の人に対しても、強い立場の人に対しても態度を変えず、相手を敬い、大切にしていくマッシュは、本当に仏法者のお手本のような人柄だなぁと感動しました。
さらにマッシュのすごいところは、戦った相手のほとんどが彼の味方になってしまうところ。彼がじいちゃんとの平和な暮らしを守りたいのと同じように、相手にも守りたいものがあることを理解し、相手を必要以上に傷つけない姿勢が(マッシュは、対戦相手が自分より弱いとわかると「なんか、かわいそうだし」と戦うのを止めたりします笑)、対戦相手をも魅了しているんだと思います。
マッシュ・バーンデッドとまとめ
今回紹介した以外にも、マッシュの仏法者のような素敵な振る舞いは数多くありました。
仏法というと堅苦しく感じるかもしれませんが、「自分がお世話になった人へ恩を返していく」「みんなに敬意を持って、平等に接していく」など、私たちが日ごろ実践できる振る舞いを説いているのです。
マッシュのように超人的な肉体でなくとも、身近な人を大切にする生き方を実践する中で、マッシュのように信頼され、周囲の人の支えになれたり、大切な人を自然と幸せにできたりするのではないかと思います。
私も、マッシュのようにありのまま、自然体で、誰かを助けられるように、日々心を磨いていきます。