朝ドラ「虎に翼」から考える、「女性×政治」のほんのちょっぴり甘くて苦い関係性

 「これは、私の物語だ」

朝ドラ「虎に翼」が終わりました。
歴代最高に素晴らしい、押し付けがましいなど、賛否両論ありましたが、私個人としては、女性の苦労や葛藤、LGBTQの方や性被害者をはじめ、社会の中でさまざまな抑圧を受け、権利が保障されていない人の存在を真正面から描き、その課題は「令和」の今も連綿と続いていることを浮き彫りにした作品だったと思います。
多くの女性にとって、悩みの種であるにもかかわらず、表立って語られてこなかった生理痛や更年期に触れていたのも新鮮で、つまりは、私的に心をつかまれたドラマでした。

「これは、私の物語だ」――SNSではドラマ放送後の感想投稿も活発で、主人公・寅子のみならず、“もう一人の主人公”とも言える専業主婦の花江に自分を重ねた女性は少なくなかったようです。
男性の友人は、「葛藤という言葉ではおさまりきらない、女性のやるせなさや悔しさを感じた。多くの女性は、あんな思いをしているんだね」と感想を述べていました。

ドラマでは数々の名台詞も登場しました。
私は特に、主人公・寅子の「はて?」が好きでした。
どんなに偉い立場の人に対しても、それって、どうなのと思ったら、“空気”を読まず、
「はて?」と切り返していく。反論していく。
また、自分の過ちや横暴さに気付いたら、自らに対しても疑問を投げかけ、反省して、謝る。
いわゆる朝ドラっぽい、はつらつとしていて、優しくて、純粋な女性ではなく、
自己中心的なところもあるけれど、“わきまえない女性”である寅子を象徴する言葉が「はて?」だったんだろうなと思います。

他にも、印象に残っている台詞があります。
それは、「私たちが次にするべきは道の開拓ではなく、舗装です」との一言。
これを聞いた瞬間、何だか泣けてきました。私自身が、男性が大半の職場で、おこがましくも寅子と同じような葛藤を抱えながら働いてきたからです。同時に、それぞれの職場や分野で道を開拓し、舗装してきた名もなき無数の女性たちがいたから、「今」があるとも感じました。

「開拓」と「舗装」のはざまで

とはいえ、いまだ舗装までたどり着いていない、開拓途中の分野もあります。
その一つが、「政治」です。

さかのぼると、女性に初めて参政権(選挙で投票したり、立候補したりする権利)が認められたのは、太平洋戦争が終わった1945年。
1890年にたくさんの税金を納めた男性にのみ、参政権が認められていました。女性にも参政権を!との運動が続けられ、半世紀以上を経て、やっと参政権を得られたのです。
1946年には総選挙が行われ、39人の女性国会議員が誕生しました。

それから、約80年。
ジェンダーギャップ指数(2024年版)で、日本の政治分野は146カ国中113位。
衆議院の女性議員比率は、約1割にとどまります。
世界の約4分の1の国では、女性の国会議員は3割に上ります(2020年時点)。国家リーダーで言えば、ドイツのメルケル首相やニュージーランドのアーダーン首相などが活躍してきました。男性で占められる日本の政治風景は、世界から見ると“異常”なのかもしれません。

そうした中でよく聞くのが、「女性は政治に興味がない、向かない」という意見です。この記事を含め、「政治」と入った瞬間、読む気が失せる人は少なくないと思います。実際、私もそうでした。

最近はだいぶ変わってきましたが、これまで選挙ポスターや国会議事堂は、黒いスーツを着た高齢男性で占められていました。そんな風景を見て育てば、「ここは私(女性)の居場所ではない」と感じて当然です。
また、政治と密接に関係する経済分野でも、企業リーダーは男性が占めています。そのため、家事や育児、介護のケアを担わされてきた女性は、政治家と身近に接する機会がありませんでした。「政治に興味がない、向かない」のではなく、社会構造として、女性は“蚊帳の外”に置かれてきたと言えるのではないでしょうか。

「大変な思いをしてまで、女性が政治に関わらなくていいのでは」とも耳にします。女性を守ってあげたいとの優しさを備えた“甘いささやき”のように聞こえるかもしれません。しかし、それは守っているようで、全く守っていない。“甘いささやき”のようで、実はとても“苦々しい言葉”だと思います。

政治だけでなく、全ての組織に通じることですが、男性が意思決定を独占している状態では、女性の声を反映させるのは難しく、地位も低く抑えられてしまいます。日本では男女賃金格差が大きく、女性の正規雇用者や管理職の比率はいまだ低いままです。また、世界で唯一、選択的夫婦別姓を認めていません。制度的性差別が残っていると言わざるを得ないのです。

変化の兆しが見えてきた

もちろん、女性だからと言って、女性に関する政策を進める人ばかりではないと思います。外交・安全保障を重視する人もいれば、経済分野に関心が高い人もいるでしょう。男性の中に多様な主義主張があるように、女性の中にも多様な主義主張があります。
忘れてはいけないのは、「国民の半数は女性」という事実です。将来、子どもたちが「議員」をイメージする際、男性とともに、女性も思い浮かべるようにしていかなくてはいけないと感じます。

幸いにも私の推しである公明党は、女性議員の割合が3割超です。
9月末には、10年後までに党所属の女性国会議員を30%(現在13.6%)、地方議員を含む全議員の半数を女性にする長期目標を掲げました。そのためには「議員活動と出産・子育て、家庭生活が両立できる環境整備が重要」とも強調しています。
「よく言った、公明党!」と思ったのは、私だけではないでしょう。

社会にも変化の兆しがあります。
昨年の統一地方選では、女性の当選者数は道府県議選、市議選で過去最多となりました。能動的に選挙ボランティアをする20、30代の女性も増えています。また、2021年の衆議院選挙では10、20代の投票率の男女差は大きく、女性の方が高かったようです(総務省)。
 
ケア責任を負わない前提のマッチョな男性文化に染まるのでもなく、“わきまえる女性”になるのでもなく、一個人として「自分らしく」生きられる世の中にするために、先人たちが勝ち取った「投票」という権利を、私も行使していきます。

公明党には、属性や育った環境などによる不均衡や格差を是正し、誰もが暮らしやすくなるよう、「実現力」をさらに発揮していってほしい。そして、「大衆とともに」との立党精神のまま、「はて?」と“空気”を読まない存在であってほしい――それが支援者としての、私の願いです。

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