「核兵器を容認する思想」と戦う私の決意
NPT(核兵器拡散防止条約)再検討会議の準備委員会が、7月末から始まる。ウクライナを巡り核兵器使用の脅威がいまだ続く中、状況打開に向け、実りある会合になるよう願うばかりだ。
池田先生はかつて、〝核時代に終止符を打つために戦うべき相手は、核兵器でも保有国でもなく「核兵器を容認する思想」である〟と述べられた。立場の異なる国や一部の国を非難することに終始して、核兵器廃絶という目標を見失うどころか、かえって核兵器を使用する方向に進んでしまう愚は避けなければいけない。
核兵器は絶対に使われてはならないという〝出発点〟を確かめ合う意味で、先のG7サミットが広島で開催されたことは、少なからぬ意義があったと思う。「核兵器を容認する思想」と向き合う上でも、広島・長崎の実相に触れることは、その思想が行き着く先を知るという点で、何より説得力があるのではないか。
G7広島サミットに先だって、4月には世界各国から若者が集まり、広島で「ユースサミット」が開催された。聖教新聞の報道によれば、世界各地から若者が広島に集い、核兵器について考えるべく行われたもので、国際NGOのICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が主催し、SGIが共催したという。
参加者は核兵器を専門的に学んでいる人ばかりでないことから、「核兵器とは何か、その影響とは」から始まり、改めて核兵器がもたらすものとは何かを確認したと、記事には書かれていた。個人的に目にとまったのは、「原爆は身体的被害にとどまらず、子や孫への影響に対する不安、社会的差別など、精神的・社会的被害も伴う」という一文だ。ウクライナ危機を経て、核兵器を巡ってさまざまな意見が飛び交う今、安全保障の視点ではなく、人間や社会が受ける被害といった〝そこに生きる人への影響〟という視座を強めていくことが、核兵器廃絶に向けた進展を生み出す要であるように思う。
その意味で、とりわけ強い感銘を受けたのは、サミットの中で紹介されたという小倉桂子さんの被爆証言だ。原爆投下後、何もない焼け野原の中で、〝何か子どもたちに食べるものを〟と、寄せ集めの材料でつくった料理がお好み焼きの淵源であること、そして、過酷な状況下であっても子どもたちには夢をもってほしいとの願いから誕生したプロ野球球団が「カープ」であること――私自身も知らない話だった。
サミットの冒頭、SGIの代表が、核兵器廃絶は「できる」「できない」ではなく、「やる」「やらない」の問題であると語ったという。自分たちが生きていく時代は、自分たちの手でつくる。核兵器もまた、私たちの世代に受け継がれた課題の一つだ。歴史創造の主役は自分たちであるという自覚で、「核兵器を容認する思想」の土壌を変える対話を、連帯を、足元から広げていきたい。
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