池田先生の平和提言に学ぶ——「核兵器の先制不使用」誓約の影響

池田先生が、2022年7月のNPT再検討会議への緊急提案、2023年1月の核問題とウクライナ危機に関する緊急提言、そしてG7広島サミットに寄せた2023年4月の提言において、最優先で取り組むべき課題として挙げられた「核兵器の先制不使用」の誓約について、一般企業で研究開発に携わる立場から考察した。

池田先生は、「核兵器の先制不使用」の方針は、安全保障環境の改善や人道目的への資金の転換につながり、それにより、大勢の人々の生命と生活と尊厳を守るための道が大きく開かれると語られた。実際にこの方針が定着すれば、核軍拡に向かう流れを転換できることが予想される。

さらに、核兵器ならびに核兵器の使用法の開発に携わる人間にも作用すると考えられる。「マンハッタン計画」で原爆開発に参加したディター・グルーエン氏は、「ヒトラーが核兵器を手にすれば、世界が苦しむ。だから、私たちの研究で戦争遂行に貢献したいと願っていた」と述べている。
この言葉に表れているように、核兵器はその開発時から、“不安”を原動力としていた。諺に「必要は発明の母」とあるが、核兵器の開発は“不安”によって“必要”と考えられ、現在まで開発が止むことなく続けられている。

池田先生は、「核兵器の先制不使用」の方針の定着によって、他国の核兵器の脅威へ向けられていた眼差しが自国の核政策がはらむ危険性と世界への貢献に向けられ、パラダイム転換が始まることを述べられている。

つまり、「核兵器の先制不使用」の誓約は、現在まで止むことのない核兵器の開発と利用に内在する、不安や疑心暗鬼を払拭する、現実的な行動であると考えられる。

現在は、人工知能の活用によって兵器開発が加速し、もはやその過程には、人間の心の揺れすら内在しない可能性がある。池田先生の「核兵器の先制不使用」の誓約の提言は、「核兵器のない世界」へ向けた根本的かつ現実的な提案である。

私は学術部の一員として、また長崎のヒバクシャの孫として、先生の提言に沿った行動に取り組んでまいりたい。


池田先生の平和提言はこちら(創価学会公式サイト)

NPT再検討会議への緊急提案 2022年7月26日

ウクライナ危機と核問題に関する緊急提言「平和の回復へ歴史創造力の結集を」2023年1月11日

G7広島サミットへの提言「危機を打開する“希望への処方箋”を」2023年4月27日

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