もう6月? いや、まだ6月! もう一度目標を立てようと決めた友の一言

暖かな風を感じながら街を歩く。いやー、すっかり夏の気候。もう6月ということは、今年もすでに半分が終わろうとしているわけか。……ん? もう半分? 私は年頭の自分を思い返して戦慄した。

そう。意気揚々と掲げた「今年の目標」が、すでにいくつか達成できずに終わったことに気がついたのだ。やってしまった。

例えば……「早寝早起きする!」。これは早々に断念してしまった。昨日も「明日休みだし」と、なんだかんだと夜更かしし、今朝は寝坊してしまった。「1日○時間の唱題!」。これは〝今日は眠いから明日残りをやろう〟なんて言っていたら、もう計算することすら恐ろしい。自己破産状態である。その他にも、心が折れている目標がちらほら。

あーあ。目標が達成できなかった時の、この何とも言えない敗北感というか挫折感というか。

そんな落ち込んだ気持ちを、男子部の集まりで吐露した。すると同い年のS君がボソっと言った。「それ大事だよ」。S君は口数はとても少ないが、優しく誠実な性格。彼の"ボソっと一言"は、いつも大切な事を教えてくれる。

「それってどれ?」と私が聞くと、S君は自身の体験談を語ってくれた。

S君は教員を志して、6度の採用試験不合格を乗り越え、7度目で晴れて教員になったという苦労人だ。彼曰く、「不合格に慣れることってないんだよね。毎回、悔しいし、悲しいし、落ち込む」。しかもそれは、回を重ねるほど苦しくなるという。

「実は、6度目を最後にしようと思ってたんだ」。ラストチャンスと決めて挑んだ試験でも不合格だったS君は、学会の先輩に泣きながら教員の道を諦める事を報告した。すると後日、先輩から手紙が届いたという。そこには、これまでの挑戦の日々こそが宝であり、無駄は一切ないという励ましとともに、池田大作先生の言葉が添えられていた。

「信心ある限り、人生の不遇も、失敗も、すべて生かし切っていくことができる。ゆえに、仏法者に行き詰まりはない」

S君は真剣に題目を唱え、考え抜いた末に、もう一度だけ試験を受ける事を決めた。その決意は、これまでのものとは「なんか一味違った」という。そして、見事に合格を勝ち取ったのだ。

S君のいう「それ大事だよ」の、それとは"達成できなかった時"のこと。その時こそ、まさにターニングポイント。敗北感に苛まれ落ち込んでしまうのか。それとも、新たな挑戦を決意するのか。どちらの一歩を踏み出すかで未来が変わる。それが「負けない」ということなのかもしれない。

池田先生は教えてくださっている。
「もし、『三日坊主』、つまり三日しか続かなかったとしても、かまわない。また決意して、挑戦すればいいんです。三日坊主も10回繰り返せば30日で、1カ月です。1カ月できれば、1年だってできる。粘り強く繰り返すことで、当たり前の日課になっていきます。大事な点は、へこたれずに何度でも決意できるかどうかです」

よし。私も新しい目標を決めよう。「半年坊主」も、2回やれば立派な1年間の挑戦になるはずだ。
S君の話にとても励まされた私は、すっかり立ち直った。そんな私を見てS君がまたボソっと一言。「苦労した甲斐があったよ」。やっぱりS君は優しい。
たとえ一時は勝てなくても、負けなければ最後は勝利が待っている。そして、苦労の分だけ誰かを励ませる自分になれる。

常に"今、ここから!"。まだまだ今年は半分も残っているんだから。

この記事のtag

#体験談

おすすめ記事