発達障がい(ADHD)グレーゾーンの〝僕〟であるからして ▶︎止まる〜主語って大切。〜ほか
主語って大切。
「最初に題目三唱したら、導師が席に戻る」
「うん」と〝僕〟。
「そしたら〇〇くんの体験発表。〝僕〟は原稿の確認よろしくね」
「わかった」と〝僕〟。
「次に△△さんの……あ、やべ、題目三唱の前に司会第一声だ。で、△△さんの研究発表」
「研究発表が題目三唱の前って早すぎない?」と〝僕〟。
「え?」
「え?」
役員として運営する会合の流れを確認していた時の会話。
段取りの中に突如現れた司会第一声が、中盤にあるはずの研究発表までも元の位置から連れ去ってしまった。立て続けに主語が移り変わると弱い。
こうした〝リアルすれ違いコント〟を、〝僕〟はたびたび繰り広げる。
「〇〇くんが話す時間ってどのくらいだっけ?」
「5分の予定だね」と〝僕〟。
「マスクは?」
「着けたままで話す」と〝僕〟。
「オッケー。で、発表して、最後に□□さんから……」
「あれ、研究発表は?」と〝僕〟。
「発表って研究発表だよ」
「あ……」
さっきの会話のつづき。2、3回と続くと、さすがに相手をイラつかせてしまう。
これは、話し終わったはずの主語が〝僕〟の脳内だけずっと続いている〝ノビる主語〟のパターン。「発表」のワードがカブった上、一度、司会第一声に連れ去られたことも引きずっているために、また研究発表の行方を見失ってしまった。
隣にいたかと思えば、いつの間にかどこかに行ってしまう。
主語って大切。
主語ともう少し仲良くなりたい。
スリークエスチョンフリーズ
スリークエスチョンフリーズ。それは必殺技の名前じゃない。
スリークエスチョンフリーズ。それは変身の呪文でもない。
スリークエスチョンフリーズ。どうして何度も繰り返すかって?
それは、響きがなんか良いからだ。
スリークエスチョンフリーズ。それは、LINEやメールの中で起こる現象を指す。
日々、手元のスマホに送られてくるいろんなメッセージ。しばらく見ないでいると、ちょっと数が溜まっていたりする。
友達の近況や、メンバーの仏法対話の報告、会合予定の確認……。
「〝僕〟は〇〇どうかな『?』」
あるメッセージにクエスチョンが1つ。〝回答を考えねば〟
「〝僕〟さん△△してます『?』」
2つ目のクエスチョンを確認。黄色信号。
「〝僕〟くん□□だった『?』」
3つの「?」が回答前に揃うと、スリークエスチョンフリーズは発動する──思考停止。
返信の言い回しや内容、必要な調べ事など、それぞれの回答に必要な行動プロセスが脳内で渋滞し、手が止まってしまう。3つ以上の疑問符によってもたらされる動作の凍結。だからスリークエスチョンフリーズ。発動時は、優先順位を整理するための〝解凍〟の時間を要する。
しばらくして、順番を決めてから返し始めるのだが、1つ目の返答が終わる前に急ぎのクエスチョンメッセージなど飛び込んできた日には、再びスリークエスチョンフリーズが発動してしまう。返したいものから返していくことで現状をしのいでいるが、迷っている間に次の予定に向かう時間がきて、返信の先送りが発生することもある。
スリークエスチョンフリーズ──われながら〝僕〟は、自分で考えたこの名を気に入っている。そのようなことを考えているから、ほかに大事なことを忘れてしまうのかもしれないのだけれど。