第47回「SGIの日」記念提言に学ぶ
池田大作先生は1月26日「SGI(創価学会インタナショナル)の日」に寄せて、記念提言「人類史の転換へ 平和と尊厳の大光」を発表された。(1月26・27日付の聖教新聞に掲載)
1983年に発表された最初の提言から、通算で40回目となる。
前半では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う危機をはじめ、世界を取り巻く課題を乗り越えるための要諦を、以下の三つの角度から論じられている。
(1)「社会のあり方」を紡ぎ直す
新型コロナの感染者数や経済指標動向といった統計的データのみに関心を向けてしまえば、大勢の人々が抱える困難が置き去りにされ、コロナ危機がもたらした「打撃の格差」の上に「回復の格差」の追い打ちがかかってしまうと警鐘を鳴らされた後、大乗仏教の維摩経で説かれる「同苦」の精神に言及。経済学者のガルブレイス博士との対談を振り返りながら、〝生きる喜び〟を分かち合える社会を築く重要性を訴えられている。
(2)地球大に開かれた「連帯意識」を
途上国へのワクチンの公平な分配を目指すCOVAXファシリティーの活動などが進められる中、新型コロナのパンデミックの克服に向けて最後の鍵を握るのは、自国のみならず他国の人々をも脅威から守るという、地球大に開かれた「連帯意識」の確立であると強調。創価学会の戸田第2代会長が70年前に提唱した「地球民族主義」の意義に触れながら、世界に同時に襲いかかった脅威に対し、「どれだけの命を共に救っていくのか」という〝プラス〟の面に照準を合わせることが難局を打開する突破口になるとし、新たな感染症に共同で備える「パンデミック条約」の早期制定を呼びかけられた。
(3)若い世代が希望を育み、女性の尊厳輝く経済の創出
コロナ危機によって若い世代を取り巻く状況が悪化したことに触れ、その状況の改善に焦点を当てる形で、「働きがいのある人間らしい雇用」の確保に全力を注ぐことを主張。さらに、コロナ禍で一層深刻化した、女性を取り巻く厳しい環境の改善のために、ケア分野の拡充が重要であると指摘された。昨年11月に制定された「創価学会社会憲章」にも、「ジェンダー平等の実現と女性のエンパワーメントの推進に貢献する」など10項目にわたる目的と行動規範が掲げられており、今後もSGIは「192カ国・地域に広がった仏法の民衆団体として、一人一人が『良き市民』として友情と信頼の輪を広げながら、〝万人の幸福と尊厳〟に根ざした世界を築くための挑戦を重ねていきたい」と結ばれている。
また後半では、現在の世代だけでなく、これから生まれる世代のために、早期に解決しなければならない三つの課題について具体的方策を提起されている。
(1)気候変動問題の解決
COP26(国連気候変動枠組条約の第26回締約国会議)で合意をみた「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求」との共通目標を達成するための牽引力となることを目指し、国交正常化50周年を迎える日本と中国が「気候危機の打開に向けた日中共同誓約」を策定することや、「国連と市民社会との連携」を強化する制度づくりを提案。その具体案として、「国連ユース理事会」を創設し、「グローバル・コモンズ(世界規模で人類が共有するもの)」に関する問題を集中的に討議する場を青年主体の組織に託してはどうかと、提唱されている。
(2)子どもたちの教育機会の確保と拡充
パンデミックの発生に伴い、学校閉鎖や授業中断で教育機会が著しく損なわれ、その影響を受けた子どもは約16億人に及んだことに言及。こうした「緊急時の教育」への対応が急務であることを説明し、「いついかなる時でも、子どもたちがどのような環境に置かれていたとしても、そこに『教育の光』を届け続ける」ことの重要性を述べられている。また、障がいのある子どもや若者の学ぶ権利を保障するための「インクルーシブ(包括的)教育」の促進を呼びかけ、9月に国連で開催される「教育変革サミット」で、「子どもたちの幸福と教育のための行動計画」を採択するよう、訴えられている。
(3)核兵器の廃絶
「〝核兵器による惨劇は起きない〟といった過信を抱き続けることは禁物である」と強く警告されながら、核拡散防止条約(NPT)の第6条で定められた核軍縮義務の履行へ向け、核保有5カ国が具体的措置を促進するための決議を国連安全保障理事会で採択することを主張。本年のNPT再検討会議での合意として、「核兵器の役割低減に関する首脳級会合」の開催を最終文書に盛り込み、日本でのG7サミットの時期に合わせ、その首脳級会合を広島で開催することを提案された。また、3月にウィーンで開催される核兵器禁止条約の第1回締約国会合に、日本をはじめとする核依存国と核保有国がオブザーバーとして参加するよう、改めて、強く訴えられた。
結びに先生は、40回を数える「SGIの日」記念提言を通して、「核問題を一貫して取り上げ、核兵器禁止条約の実現をあらゆる角度から後押ししてきた」とご自身の信念の歩みを振り返りつつ、戸田先生の原水爆禁止宣言の精神と響き合う核兵器禁止条約の第1回締約国会合の開催が間近に迫る今、「核兵器の廃絶に向けて、いよいよこれからが正念場」との決意をつづられている。
そして、「青年を中心に市民社会の連帯を広げながら、誰もが平和的に生きる権利を享受できる『平和の文化』の建設を目指し、どこまでも前進を続けていく決意です」と結ばれている。
私たち創価学会青年部は、世界の青年と手を携え、師の構想を現実社会で具現化し、未来の希望、人類の繁栄を創出できるよう、日々、それぞれの使命の舞台で行動を起こしていきたい。